税金を納めていても、「税務調査」の対象に選ばれたら思わず緊張してしまうという事業主の方は多いのではないでしょうか。今まで税務調査を経験したことがなければ、調査のイメージがわかず不安になって当然です。

今回は事業主の税務調査について、準備すべきことや流れ、聞かれる項目などをまとめてみました。

税務調査は個人事業主も対象になる

税務調査は「適正かつ公平な課税を実現する」ことが目的になるため、法人のみが対象となるわけではありません。実際に調査が実行される確率は、税務調査対象となる法人・個人の法人が約3%、個人が約1%。この選ばれる人というのは明確に決められているわけではありませんが、やみくもに選ばれるのではなく選ばれやすい個人事業主というのはいます。

ちなみに法人と個人事業主だと、税務署内では担当する部門が異なります。法人は法人税法に基づき管理され、個人は所得税法によって管理されています。そのため個人事業主を担当する調査員は、当然ながら個人の税務調査に関する知識を豊富に持ち合わせています。

税務署は過去の申告内容やそれぞれの業種別のデータベースを、国税総合管理システム(KSK)で一元管理しています。これは個人事業主だからといって無関係になることはなく、申告された内容はこの情報と照らし合わしてチェックされています。

どんな個人事業主が選ばれやすいのか?

では一体、どんな個人事業主が調査対象になりやすいのでしょうか。まず傾向として、税務調査側も同じ業種や近い業種を同時期に行う方が効率が良いため、「この業種が選ばれやすい年」というのはあるようです。

国税局が持っているデータと合わせて申告内容に大きな差異や不自然な点が見つかれば、コンピュータで自動的にピックアップされ調査対象となります。かつては所得が1000万円を超えていると選ばれやすいといわれていましたが、現在は所得額だけでは選ばれないため注意しましょう。逆に、極端に所得が少ないことで不自然さを感じ調査対象に選ばれることもあります。

他にも対象となりやすいのは創業から5年の個人事業主。原則として過去5年分はさかのぼって調査が可能なため、税務署側も都合が良いという面があるからです。

また過去の業績と比較して大きく変化した場合は、やはり注目されます。業績が伸びた場合も、悪化した場合も同様です。それから業績が上がっているのに、預金や在庫などが少ない場合も選ばれやすくなります。

個人事業主の税務調査の流れとチェックポイント

個人事業主の税務調査で聞かれることは大きく分けて3つです。

事業内容について

最初は仕事に関する説明を求められ、なぜこの仕事で、いつからやっているのか、基本的な部分から聞かれます。営業の手法や仕事を行う主な地域、売上先、銀行口座など雑談を交えて聞きたい核心部分をついてきます。これに関しては、調査員によって聞かれる内容に多少差があります。

その業界について詳しい調査員ならば最初から聞きたい項目はある程度目星をつけてきますが、業界に詳しくない場合はお金を得る仕組みから説明するケースもあります。あやふやな点や曖昧な部分を指摘したり説明を求めることはどちらも同じで、業界について詳しくない人の方がかえって答えるのが難しいこともあります。

帳簿について

売り上げの締めと入金、請求書の作成方法、現金でのやり取りの有無、領収書の整理状況と管理状況は細かくチェックされます。

特に領収書に関しては、個人事業主はプライベート部分との境目が分かりづらいため必ず確認される項目です。

生活費を経費として含めていないか、交際費は事業運営に関係しているのか、帳簿ですぐに確認できれば良いのですが、整理整頓できていないとそれだけで心証は悪くなります。不明な点があれば「この部分を確認して後日教えてください」といわれてしまいます。

確定申告について

これも帳簿と同様に、管理状況を確認し作成方法などを聞かれます。控えやメモはどこに置いているのか、時には申告書に明記した金額をどう算出したかを聞かれることもあります。

まれに脱税意識のある悪質な個人事業主がいるため、それを見抜くために税金に関する難しい質問をされることがあります。日頃から勉強しておくことは大事ですが、知らないことは知らないと答えることも大切です。

いつ調査に入っても良いように、日頃から心がけておきたいこと

個人事業主の税務調査では帳簿について問題となるケースが多いため、日頃からしっかりとお金の動きを管理し、誰が見ても分かるようにしておくことが大切です。

全ての項目に領収書や請求書があり、相手先が明確で事業と関連性があれば問題はありません。領収書がない場合、普通は経費と認められません。もし紛失してしまったのなら支払日や金額、相手の連絡先などを明確に記録しておく必要があります。

また交際費も入念にチェックされます。誰と何の目的で飲食したのか、領収書の裏に明記しておくと良いでしょう。また電気代や通信費について、領収書管理はもちろんですが、プライベート部分とどう分けているのか説明できなければなりません。何割だからOKというのはなく、何を根拠にその割合としているのか、自分の中で定めたルールを明確に説明できるようにしておきましょう。

個人事業主の税務調査は必要以上に怖がることはありません!本来事業主として当たり前の項目が多いため、今後事業を拡大していくためにも普段から心しておくと良いですね。